「ブルーサファイア」エレジー(93)

 屋上の展望レストランに入ると、私達は奥の方のテーブル席に着きました。展望レストランは空いていて客はほとんどいませんでした。  広い展望レストランは周囲が開放的窓ガラスで囲まれており、カラフルな照明やソファー、植物園のようなインテリアが安らぎを与えてくれる空間になっていました。  すぐにスタッフが来て水のグラスを置いたので、…

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「ちびまる子ちゃん」エレジー(3)

 私を後部座席に乗せて葉室さんが運転する大きな黒のBMWは瀬戸内海沿岸、広島県の国道を広島市方面に向けて走っています。晴れていて海も凪いでいます。葉室さんは、とても車の運転が上手でした。男の人のような大胆なハンドルさばきでスピードも出してカーブを曲がったりしています。  葉室さんはしばらく沈黙した後、私の質問に答えました。 …

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「ちびまる子ちゃん」エレジー(2)

 翌日の土曜日の午後、私が自宅の2階の私の部屋の窓から外を見ていると、丘の麓からなだらかな坂道を1台の黒い大きなセダンが上って来ました。  丘の斜面には、あちらこちらに住宅が点在しており、その住宅地帯を縫うように蛇行した坂道の道路が通っていました。  私の家はその丘の中腹にありました。私の家の上の方にも住宅が点在して、丘の上…

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「ブルーサファイア」エレジー(92)

 伊藤支配人は、しばらくしてニコリと笑ってルナ子に答えました。  「ハイ……一応……そうです。だけど、伊藤博文といっても、もう何代も前の先祖ですから」  私は驚きました。あの伊藤博文の子孫が目の前にいるのです。茂君も知らなかったようで、驚いているようでした。すると伊藤支配人は微笑みながら、次のように説明しました。  「…

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「ちびまる子ちゃん」エレジー(1)

 「真の愛は動物的個人の幸福を捨てた時に初めて可能になる。本当に他人を愛することができる為には、本当に自分を愛さないことが必要である」。  忘れもしません。突然 ”バン” という音がしました。高校2年生の秋、金曜日の午後でした。私(ココ)が昼休みに教室で自分の机に座って「愛と生と死~トルストイの言葉」(西本昭治訳編・社会思想社)の…

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「ブルーサファイア」エレジー(91)

 私は心臓がドキンとしました。アリサはVIPルームに私と一緒に泊まると言っているのです。また、茂君とルナ子も一緒に泊まることを提案しているのです。茂君とルナ子も驚いて唖然としている様子でした。  ルナ子がアリサに真剣な顔で言いました。  「……お姉ちゃん、どうしたの?……変なこと言わないでよ。トラと茂君がビックリしているじゃ…

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「ブルーサファイア」エレジー(90)

 道路の突き当りに月光ホテルが見えてきました。アリサは私の前を少し離れて歩いています。  私の心の中には納得できない疑問が渦巻いていました。アリサのハンドバッグを盗んだ少女とアリサの関係です。  アリサはその少女の亡くなった父親や家庭のことなどをどうして知っていたのでしょうか。少女が広島女学院高校の3年生ということまで知って…

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「ブルーサファイア」エレジー(89)

 私から身体を離したアリサは、海の方を向いたまま明るい声で言いました。  「トラ、私も甘い夢のように感じているのよ」  「えっ……」  「あの一筋の月光のさす岩場でのひとときのことよ」  「だったら……アリサ」  「だけど、その甘い夢は私の心の中に沈めておきたいの」  ”沈めておきたい” とはどういう…

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「ブルーサファイア」エレジー(88)

 星ふる岬公園の海辺の砂浜を、さっきの岩場とは反対の方向に私とアリサは並んで歩いて行きました。月光で浜辺はまるで昼のようでした。この辺りに人影はなく、私達だけでした。  私はアリサの横顔をそっと見ました。アリサは真剣な顔付きでした。すると、スッと私の方を振り向くと、微笑みました。そのアリサの顔がとても美しくて、まぶしいくらいでした…

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「ブルーサファイア」エレジー(87)

 星のない月光の支配する瀬戸内海のOH島の夜。私達は星ふる岬公園から少し離れた海辺の岩場の大きな岩の上にいました。  向こうの岩に座っている少女の顔は月光を浴びて、恐怖心に満ちた表情を見せていました。少女は震える声で言いました。 「てめえは、何者だ? 普通じゃない! 早く自由にしてくれ!」  少女と対面して座ったまま、…

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「ブルーサファイア」エレジー(86)

 色白のきれいな顔をした少女は大きな岩の上にヒョウのように四つん這いになったまま私の方を振り向いて、恐怖に満ちた顔をしていました。大きな目からは涙がこぼれていました。  満月の月の光を浴びて、岩場は昼のように明るい空間になっていました。  私は不思議に思いました。なぜ少女は四つん這いになったまま逃げもせずに同じ姿勢でいるのだ…

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「ブルーサファイア」エレジー(85)

 私は公園のベンチに座って、月の明かりに照らされて波打ち際で遊んでいるアリサを見つめていました。  その時、私の後ろでガサッと音がしました。ベンチに座ったまま、私は後ろを振り向きました。  ドキッとしました。ベンチの後ろのヤシの木の前で、少女がなぜか両手を頭にあげて、ニコリと笑って立って私の方を見ていたのです。色白のエキゾチ…

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商品紹介

プロフィール

Romy Rurikawa
あらゆる乗り物が好きなのでよく旅に出ますが、そこは日常の喧騒から逃れて自分をみつめ、淡いふれあいもある、やすらぎの空間なのです。